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2015.08.02 Sunday

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2009.11.09 Monday

トーマス・ピンチョンと特許法

 

トーマス・ピンチョンは、20世紀を代表する米国の作家である。謎と比喩に満ちた作風で知られる。彼の「競売ナンバー49の叫び」では、奇しくも、特許制度についての言及が見られる。

株主に抗し、会社の就業規則を改定しようとする説明のくだりは、次のような会話。

−−
「座りなよ、あんた、ほんとうに会社の方針を動かしたり、くずといっしょに捨てられちまわないような提案を出したりできるの?」
「ええ」とエディパは嘘をついた。反応を見たかったのだ。
「やってみてくれないかな」とコーテックスは言ったー「特許に関する条項を廃止させるように。こいつが奥さん、頼みたいことなんだ」
「特許ねえ」とエディパ。コーテックスの説明によれば、技術者はヨーロダイン社と雇用契約を結ぶに当り、同時に、どんな発明をしてもその特許権は会社に譲渡するという署名をしているのだという。
「これではほんとうに独創的な技術者を殺してしまうんだよ」
。。。
「個人が発見するなんで、もうなくなっていることだと思ってたわ」とエディパは言った。
−−−
日本の特許法では、会社等が従業者等から譲り受けることができるとする発明は、職務発明に限られている。特に、発明の対価についての訴訟が続いてから、対価についての規定が強化された。米国の特許法の条文は確認していないのだが、自由契約の風潮が強い米国で、職務発明について何ら制約的な規定があるとは考えにくい。

ピンチョンのこの小説は1966年であるが、このときすでに、特許制度の弊害があること、また、もはや個人一人では発明が困難であることを示唆しているのが新鮮である。




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2015.08.02 Sunday

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コメント
はああ、ピンチョンの小説は深いですね。
本当は一行たりとも読み飛ばせないはずなんですが、あまりの密度に煙にまかれてしまいます。
特許制度のくだりなど、これが60年代に書かれた小説とは信じられないです。
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