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2015.08.02 Sunday

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2009.09.17 Thursday

村上春樹と三島由紀夫をめぐる 2

 

さて、村上春樹氏は、小説家になるに至った経緯をいくつものエッセイ等で披露しているとおり、学生結婚のまま、就職することなくジャズバーの経営を始め、作家活動に専念するまで10年ほど続けている。デビュー作「風の歌を聴け」までのころだ。

その村上春樹氏は、小説を書くことについて、ジャズバーでの全くの肉体労働の実生活が糧になったと力説しているのを目にする。そして、小説家になるため、または、よい文章を書くためには、という質問に対しては、次のような趣旨の回答を記している。

僕は経験を通してしか、考えることができない。語ろうとする、または書こうという意思があれば、そこに経験を重ねていくことで、いつかは、うまいヘタは、ともかく自分の文章が書けるようになると。

こうして、一昔前と、現代のノーベル文学賞候補の小説家、二人の創作活動に対する実生活の影響という視点の差を少し語ることもできそうだ。

三島由紀夫氏の言によれば、詩人の魂なるものが、まずあって、これを夾雑物から取り除いていく課程として、実生活の必要性を認めているようにみえる。

一方、村上春樹氏は、語ろうという意思があるところ、経験がその語るべきものを形成していくという意味で、実生活の必要性を認めているようにみえる。

いみじくも、村上春樹氏は、三島由紀夫のクーデーター未遂事件のときには、大学生で、おそらくは、狂信的に、自分の美意識を世界にあてはめようとする三島由紀夫氏の行動・思想には、嫌悪するところがあったらしく、彼の小説は評価しないと公言している。

詩人の魂の原石があるとするならば、三島氏のそれは実生活で汚されていくことを認めても、それに抗したかったのだろうし、村上氏は最初から、実生活やポップな日常社会の中から生成させようとしたのだ、と言えるかもしれない。

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