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2015.08.02 Sunday

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2009.09.11 Friday

わたせせいぞう 賢者は輪郭を見る

 

たぶんに、かなりミーハーに属する話であるが、わたせせいぞう氏の作品集を開くのを目の至福としている。バブル経済の時期にモーニングに連載されていた「菜」は、浮世絵の色彩感覚を現代に継承したポップアートのマンガである。おそらく一度は、目にした方も少なくないと思う。

特に、四季それぞれの光の強さに応じて、時に、雨天、月光の中を彩り繊細に描写した日本の風景、歳時記は、すでに昨今のトレンドからはずれてしまっているが、いずれ再評価されるべきものだろう。

日本に生まれた浮世絵の合羽刷りは、20世紀前半のアールデコの時代には、フランスを中心にポショワールと呼ばれる、冊数限定の挿絵本として開花するに至った。わたせせいぞう氏の作品は、ポショワールを通して、浮世絵の文化が日本に再輸入されて大衆化した感も強い(荒俣宏:「不思議のアールデコ」)。

わたせせいぞう氏の描く画の官能は、光を意識した色彩のグラディエーションと、そのグラディエーションを縁取る輪郭にある。リーニュ・クレール様式と呼ばれるその技法は、「タンタン」の影響もみることができるが、その事実の有無に関わらず、僕には、目の悦びに浸るには、十分なものだった。

わたせせいぞう氏の故郷、小倉の隣の門司港駅は、かつて石炭を運んだ賑わいを彷彿させるレトロタウンで、そこの旧大阪商船ビルには、彼の美術館があって、たまたま訪ねたときには、美しいリトグラフをみることができた。

カラーのグラディエーションの妙を味わうのであれば、数多くの写真家の作品によって味わうことはできるのだが、写真のグラディエーションにはない実線の縁取りが、視覚を通じて大脳でドーパミンを放出させるのだと思う。

なぜ、輪郭の存在が、重要なのだろうか。結論から言ってしまえば、それは脳内で、自然界の光景も、輪郭を基準に処理されているからだろうと考える。



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