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2015.08.02 Sunday

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2009.08.22 Saturday

夏休み宿題、読書感想文「トロッコ」

 


人生はトロッコである。ということでしょうかと先生は言った。一瞬、空を見つめたような気がした。先生は地元の江戸時代の俳人の句集を編纂しているのだと聞いていた。

受験やら他のことで忙しい僕たちはそのことはすぐに忘れた。ほかに学ばなければならないことは山ほどあったからだ。その言葉の真意は、はっきりは図りがたいものはあったが、古人の箴言・警句のように、どこかひっかかるものがあった。実のところ、学校を卒業してからも、思い出したように、僕の生活の中で姿をあらわした。

先生は、僕らに3つのことを教えてくれた。
ナックルは、切れあるサービスの中で1回だけ使うから有効であること。
人徳と治世の才は別のものであること。
そして人生はトロッコであると。

おかげでも僕たちの球技部は、先生の優秀な指導もあって、地区予選でも満足いく成績を修めることはできたが、教訓は、受験勉強では役に立ったのかどうかわからなかった。

先生は、地元の高校の校長で定年後は、受験機関の理事を勤めていると聞いた。

その後、僕が先生のことを思い出したのは20年以上後になってのことだ。本屋の平積みに教育の市場化テストを加速化すべきと、いささか過激な論調の新書をみかけた。カバーの裏には、かなり白髪が増えたが、眼光の鋭さはかわりない、先生の横顔があった。

「トロッコ」は、芥川龍之介の短編である。幼少期の主人公は、箱根の山に囲まれた山間部の田舎で、ある日、線路の敷線工事の現場で、トロッコを見つけ魅了される。

そして、工夫がトロッコを押していくのをさりげなく手伝っていくうちに、主人公は工夫とともに、下り坂をトロッコで滑走し、一瞬の至福の時を味わう。それもつかのま、山のはるか先まで、たどりついたとき、工夫に家に帰るよう諭される。我にかえると、なんと見知らぬ遠くまで来てしまったのかと絶望的な気持ちになるのだった。あとは泣きながら裸足で帰路を走り、ようやく家にたどりつく。

短編の最後の数行は、主人公がこの幼少期のエピソードを回想する形で終わっている。都会に出て出版社で校正の仕事についており、仕事の合間にこのエピソードを思いだすのだ。


続く

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