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2010.06.14 Monday

沢木耕太郎:「深夜特急ノート」 車窓のサイエンス

いつまでも、永遠に読み続けていたい本の1冊は沢木耕太郎氏の「深夜特急」である。

バックパッカーの伝説のバイブル。ユーラシア大陸を路線バスを乗りついで横断。
猿岩石のヒッチハイク番組はディレクターが本屋でこの本を読んでマネてみたという。

単行本では続編を含めて3冊だったが、塩野七生さんの著作のように10巻ぐらいはあってほしいのだが、読み終わってしまうと、もっと読みたくて、それが自分で旅行をするか、あるいは自分で旅行の体験を文章にしてしまいたい衝動に駆られる。
「旅する力 深夜特急ノート」はそんな読者を想定して、ベストセラーの刊行後に断片的に書き連ねたと思われる、いわば、「Making of Midnight Express」といえる。

沢木氏が有名になる前に所属していたTBS系の「調査情報」編集部でのエピソードは読者も興味深いところか。感想を総じていえば、ちょっと無理して裏話を披露している感もある。

往年のジャズ名盤をCDで販売するときには、アナザートラック(ボーナストラック)としてLPにははいっていない、いわばプレスは見送った演奏がはいることがある。マニア層にはたまらないサービスであるとは思うのだが、必ずしも、最高のできではなかったりして、これは日の目を浴びない方がよかったのではないかと思うこともある。沢木氏の創作ノートに関していえば、微妙なところかもしれない。

それでも、原石の中から輝く珠を見つけ出したときには、とても得をしたような気分になる。自分が似たようなことを考えていたときにはなお更である。

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ひとりバスに乗り、前から外の風景を見ていると、さまざまな思いが脈絡もなく浮かんでは消えていく。そのひとつの思いに深く入っていくと、やがて外の風景が鏡になり、自分自身を眺めているような気分になってくる。バスの窓だけではない。...そのとき、それが自身を眺める窓、自身を眺める「旅の窓」になっているのだ。...フレドリック・ブラウンが『シカゴ・ブルース』というミステリー小説の中でこんなことを書いている。
「おれがいおうとしたのはそれだよ、坊や。窓の外を見たり、なにかほかのものを見るとき、自身がなにかを見てるかわかるかい? 自分自身を見てるんだ。ものごとが、美しいとか、ロマンチックだとか、印象的とかに見えるのは、自分自身とかに見えるのは、自分自身の中に、美しさやロマンスや、感激があるときにかぎるのだ。目で見ているのは、じつは自分の頭の中を見ているのだ」
沢木耕太郎氏の「旅する力 深夜特急ノート」
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近年の脳科学ブームの中で、脳の働き、感情・思考といった活動と生理学の領分との関係が少しづつ明確になってきているのだが、旅をすること、車窓を眺めることは、1つの脳科学、自分で自分が考えるプロセスをメタレベルで観察するサイエンスなのではないかと思う。

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