<< 地球空洞説 2 | main | (続)世界で一番やわらかいパン  >>
2015.08.02 Sunday

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

2009.08.06 Thursday

ヤフードーム異聞

  
 ヤフードームの話である。福岡を離れることになった友だちが一度はドームを見ておきたいという。リクエストに応えて、仲間でこぞってドームに野球観戦にでかけた。

グラウンドと同一のグリーンで統一された観客席はゆるやかなスロープを描き、どこの座席からも試合を臨場感もって楽しめるようにされた設計が印象的だった。試合は、派手な展開はないものの、シングルヒットと犠打等の小技の応酬。投手リレーも目まぐるしく、その日広島をやぶったソフトバンクは、その日を機に、連勝を重ねることとなった。


ところで、球場名にまで冠せられるまでなった「ヤフー」のもう1つの意味を知る人は多くないのではないだろうか。日本では子供向けの物語として知られることになる「ガリヴァー旅行記」は1726年、イギリスでジョナサン・スウィフトにより出版された。スウィフトはトーリー党親派の政治家として活躍したものの、アン女王の反感とホィッグ党の復活とともに、失墜する。そして失意のもと戻った故郷のアイルランドでスウィフトは執筆活動に没頭することになる。そして、同小説の中で、ガリバーが訪れる最後の国フウイヌムでヤフーなる生き物を登場させている。

ヤフーとは、毛むくじゃらの猿人で、人間の野蛮性を増長させた生き物である。家畜人あるいは餓鬼とでも訳するのが妥当であろう。一方、フウイヌムは知性を獲得した高貴な馬であって官僚的にフウイウムの国を支配している。風刺小説であることからも明らかなように、両者はいずれも人間の鏡として描かれ、よくも悪くも人間はフウイヌムよりは愚かでヤフーよりは真っ当なはずの生き物と位置付けられる。このあたりは四方田犬彦氏の著作が楽しい。

さて、とすれば、ヤフードームとは、さしずめ、伏魔殿とでも訳するのが適当ではないか。インターネットの寵児であるジェリー・ヤン氏らも、まさか、創業した会社の名前がその後、球場にまで命名されるとは予想しなかったろう。

2011年、村上龍氏の「半島を出でよ」では、北朝鮮のコマンダが日本に潜入し、福岡市を占領するのだった。9人のコマンダは、最初の作戦として、試合の最中のヤフードームを制圧する。観客を人質にして、後続の戦闘機の上陸を成功させてしまう。ヤフードームの隣のシーホークホテルは占領軍の本部となる。

そうなってくると、ここヤフードームが伏魔殿の異名を持つのも、意味深長である。北朝鮮の作戦コードは伏魔殿のハイジャックであったかもしれない。
客席を眺めれば、あちらこちらで観客は次から次へとビールで顔を赤らめ、腹をせり出して、メガホンを叩いて奇声をあげる。平安時代の絵巻に見る餓鬼の姿と見えないこともない。やはりここは伏魔殿であったのか。

小説の方は、続きがある。日本政府も手がだせない北朝鮮の占領軍を、殲滅させて日本を救うことになるのは、それぞれ心に傷をもつ軍隊マニアのオタクたちであった。彼らの言動はいかにも村上龍氏好みのマイノリティとして描かれている。確かに、彼らはパソコンでヤフーで検索をやりそうだ。希望はある。
にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ
にほんブログ村
2015.08.02 Sunday

スポンサーサイト

Calendar
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< July 2019 >>
PR
Selected Entries
Categories
Archives
Recent Comment
Links
Profile
Search this site.
Others
Mobile
qrcode
Powered by
30days Album
無料ブログ作成サービス JUGEM