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2015.08.02 Sunday

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2009.11.22 Sunday

天空の城ラピュタ テクノロジーに郷愁を感じること

宮崎駿氏は、インタビューなどで自ら明言しているように、ミリタリーマニアであるらしい。初期のアニメ作品を中心にして、登場する機械や飛行機のディテールへのこだわりにその偏愛ぶりを確認することができる。

天上の城ラピュタは宮崎氏の嗜好が伸びやかに反映された作品の一つである。おそらくは、まだマジョリティうけや興行的な成功についてのプレッシャも少なかった時期であるせいもあると思う。

機械への愛情と自由な想像力の創作である飛行機や飛行船のデザインや機能を素直に味わうことが一般視聴者としても、このアニメ映画が正しい観賞方法と思うのだ。

映画冒頭のシータが乗る飛行客船は、ツェッペリン号を彷彿させ、20世紀初頭のおだやかでゆっくりした時代の空気を味わうことができる。

泥棒一団が空を飛び回るフラップターは、ハエの羽のような両翼を羽ばたかせて、浮遊して空中で停止できる、停止状態から後部のジェットエンジンで一気に加速して飛行する。

ラピュタへ向うシータたちの後を追跡する、敵軍の飛行戦艦は、そのずんぐりとした甲虫のような姿と搭載した兵器の機能も楽しい。

ディテールへの拘泥を際限なく繰り返すことは甘く楽しい記述作業であるが、キーボードを叩きながら、頭をよぎる思いは、なぜ、古きテクロジーにひかれるのだろうかということだ。

正直に告白してしまえば、僕には最新技術なるものの、しかけにはとても興味があるのだが、その技術が具現化されたハヤリの商品にはあまり関心がない。ある技術が新しかろうが古かろうが、その技術が機械に搭載される内的な必然性が感じられ、巨大な動物が心臓を鼓動させるような機械を美しいと思うからだ。

古きテクノロジーを愛でる理由の説明づけの1つには、それがテクロロジーであることは関係なく、何であっても過去に過ぎ去ったものだから、郷愁を感じるからだとする考えができる。

新幹線にせよ東京タワーでも、デビュー時は未来の象徴が、主役の時期をすぎ、そこに利用者が痕跡を刻まれたまま、日常から姿を消すことによってノスタルジーの対象となりうる。最新技術と比較すれば明らかな欠点や不便さは、すっかりきれいに隠微される。そうであれば、郷愁の対象は必ずしも技術である必要はないし、それが絶対的に優れたものである必要もない。時間さえたって、そこに十分に利用者の手垢がつき、表面のペンキや板が摩滅していれば十分なのであると。

このロジックは、そのまま骨董品への愛情への考察へと誘導されるものである。

もう1つの考えとして、その技術・造形分野ごとに黎明期のものは、最初のデザインのみが備える力があるのだと思うのだ。

プロットタイプには、荒削りながら、その機械の備えるべき機能と美しさが丸ごと含まれていて、その改良版で機能が洗練された後はあとはコストダウンと大衆化である。歯車を一つ省略することで、調整が必要で潜在的に故障リスクを孕んだ部品は一つなくなるのだが美しさが一つ損なわれる。調整箇所が一つなくなることで、熟練工への操作技量の要求も減るのだが、機械と人の関係性もより希薄になるのだ。

天空の城ラピュタの主人公パズーは、ときに採掘現場で半自動エレベータの歯車や蒸気機関のバルブを熟練工のように駆使し、ときにだましだまし動かす。また、飛行船の偵察凧ををハンググライダーのように操って風にのって天空を移動する。

人間と一体になって生き生きと動く機械は、手工業と近代テクノロジーの蜜月時代である。

過去をふりかえってベルエポックをよき時代と賛美して、黎明期のテクノロジーを愛でるのは、単なる郷愁を伴った作業ではなくて、そこに未来のテクノロジーを見出す想像力を見出す作業である余地はあると思う。

ラピュタ人が誰もいなくなって500年たったラピュタの城をロボットが、淡々とプログラム通りに、侵入者を排除すべく動きまわるのであるが、僕は、未来の世界で人類の叡智を伝承していくのがロボットであっても、それもいいのではないかと少し思った。

2015.08.02 Sunday

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