2015.08.02 Sunday

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2009.08.29 Saturday

(続)甲子園を情報圧縮



メディアプレイヤーを再生してみると、ケーブルモデムの回線のせいか、あるいは、まだ当時はバックボーンの帯域も十分でなかったせいか、うまく映像を見る ことはできなかった。それでも、音声の方は、かすかなヒットの音を追いかけるように、あの観客席の歓声がスピーカから再生され、それともに、脳裏には、あ の甲子園大会の映像が生々しく甦ったのだった。それは、僕に、甲子園大会を体感させるには充分な情報だった。

乾いた土地に雨が染み込むように網膜に映像が焼きついた。そして、改めて気がついた。甲子園大会の旨みのエッセンスというのは、あの熱い空気を更 に蠢かせる観衆のどよめきであると。もちろん、ピッチャーとバッターの駆け引き、守備の手さばき、とミクロレベルにはたくさんあるのだけれど、あのどよめ きが、選手のプレイ以上に、TV視聴者の心を熱くしていたのだ。

90年代に加速した映像圧縮技術の普及は、80年代までに進められていた符号化理論の理論的研究を背景とし、DSPとLSIのプロセスの微小化に よって一気に進められた。こうして、パソコン端末側の準備が整ったところに、ブロードバンド環境の整備によって大衆の用に供するところになった。90年代 前半にはJPEGのコーディングを研究室でしながら、マッキントッシュのテストチャートを圧縮していた日は、すでに過去の日々である。

映像符号化の秘密は、コサイン変換によって、めだたない部分のビット割り当てを粗くして、エントロピー符号化の採用により、情報の本質的にもつ複 雑さまでは符号量を落とすことができることをからくりとしている。その後、理論的なブレイクスルーは枯れてしまったが、更なる圧縮には、送り手と受けての 間で、知識的なコンテキストを共有した上で、意味として重要な情報のみを送信するとする考え方がある。

甲子園大会の音声の例で言えば、おそらく8kbpsの5秒分の音声でわずか5キロバイトほどで、数メガバイト相当の映像を情報圧縮して、視聴者に伝えることができたといえよう。

もっとも、甲子園大会を知らないラテンの国の視聴者が音声だけを聞いたとしたら、闘牛場のシーンか何かと受けとめたかもしれない。メディアは中身が何であっても、受けて側で意味が定まるものだから。

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2009.08.28 Friday

甲子園を情報圧縮

 


甲子園大会を情報圧縮するには何ビットあれば、足りるだろうか。

1999年の夏、米国に住んでいた僕は、甲子園大会が観たくてたまらなかった。横浜高校の松坂が活躍した翌年のことである。特に贔屓の高校や選手があったわけではない。なんというか、申し分ない晴天が永遠に続く日々の中、季節の節目をペースメーカーにしている日本人の習慣として、8月という夏の折り返し地点を確認しておきたかったのだと思う。

ローカル局の週末番組ではNHKニュースのダイジェストを見ることができたのだが、著作権の問題なのか、映像はなく、スコアと勝敗の結果のみを知ることができるのみで、リアルな実感に乏しかった。

サンノゼでは、日本のADSLサービスに先駆けて、ケーブルテレビによるインターネットサービスが始まったところだったので、早速、アパートにはモデムをインストールして朝日新聞のサイトを覗いた。

確か、ちょうど始まったばかりの映像ストリーミングが試行されたところで、甲子園大会の試合ごとのハイライトが10秒ばかり、提供されていた。

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2009.08.27 Thursday

(続)ベトナムヌードル:異国で食べていくこと

 

ベトナムヌードルの、真骨頂は、ちょっと野草のように癖のあるコリアンダー・パクチーがはいっていることである。これが好きか嫌いかで、ベトナム料理への嗜好の好みがわかれる。自由が丘でベトナム人の方のやっているお店でも、コリアンダーは安価には入手困難のようで、三つ葉で代用していた。

さらには、テーブルには魚醤と、とびきり辛い唐辛子系の香辛料がおいてあって、味付けは調整可能であるが、おおむねアミノ酸の味付けはほどよくできている。

さて、1週間ぶりぐらいに、東洋系のアミノ酸たっぷりの食事にありつけたのでベトナムヌードルさえあれば、ここでも生きていける、と初めてのコリアンダーの臭さにはエキゾチックな違和感は感じながらも、ひしひしと思ったのだ。

食の恨みは恐ろしいが、食の恩義は一生忘れないものである。

米国に暮らすベトナム人の多くは、ベトナム戦争後に渡ってきた移民である。米国の移民社会にも、目には見えない階級のようなものはあって、それは、労働者階級の職業で明確に知ることができる。たとえば、90年代のニューヨークの雑貨店はコリアンが多く、ベトナム人は彼らの後発と思われる。

上司がシリコンバレーのレストランのトイレで従業員向けに用を足したら手をきれいに消毒するようにと、の注意文が、中国語、スペイン語、その次にベトナム語の順番で書いてあることを最初に発見し、報告してくれた。

おそらくは、勤勉なベトナム人たちは、少なくとも建前上は、移民に対しても門戸をオープンに広げたアメリカの地で、後発という不利な条件の元、ある者たちは、自分たちのソウルフードであるベトナムヌードル=フォーを、万人向けに洗練させて世界標準へのと野望を抱いてレストランを展開していたのだ。それがITのデファクトの聖地シリコンバレーだったのは偶然かどうかはわからない。少なくとも、自分は、アメリカでアミノ酸系のいわゆる「だし」の効いた食事に飢えている者の一人として、ベトナム料理に邂逅したのだと言える。

その後、現地でのベトナムとの縁は続いた。現地での提携会社での担当者はちょっとヒドイ発音のベトナム人だった。深夜続きの共同作業が終わった後、タイ料理よりは少しばかり辛くないベトナム料理のスープをごちそうしてくれた。

唐代に陸願なる苦学生がおり、幼少より麺を好み、終日食べていたという。ある日ベトナム人がやってきて、黄金を差し出して、あなたが麺を好むのは腹中に「食麺虫」がいるせいであり、ついてはそれを、譲ってほしいという。これに応じ、さしだされた丸薬を飲むと、二寸ほどの大きさの食麺虫が口から飛び出、ベトナム人はこれを金箱に封じて去っていったという(張読「宣室志」、四方田犬彦「食卓の上の小さな混沌」)

米国で食麺虫が、腹に寄生してしまったのかどうかわからないが、帰国後は家族そろってベトナム料理のファンになってしまった。

ベトナム人への恩義が食麺虫のせいかどうかはわからない。






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2009.08.27 Thursday

ベトナムヌードルー異国で食べていくこと

 

異国で暮らしていくとは、まず、そこで食べていく事である。

米国の最初の夜に、ポツリと一人、モールの前で車から降ろされた後で、まず最初にしなければならなかったのは、飲食店に出かけて、注文をするということだった。何しろ、英会話学校を除けば英語を実地で使ったことはなかった。海外出張の経験もない土地で、これから毎日食べていなければならないのだ。

初日は、ピザ屋でワン スライス オブ ピザと、ミディアムサイズのコークを注文した。二日目の夜は、サンドイッチ屋で、中身はなんだったか覚えていない。食材をはさんだロールパンを食べた。中身にいれてほしくないものを尋ねてくるのだが、何のことだかさっぱり要領を得なかった。三日目の夜は、面倒なので、スーパーマーケットで、サンドイッチのたぐいを選んできて食した。固いパンとの格闘の日々だった。

四日目か五日目は、週末だったので、アパート探しに、思い切って遠出をしてた。守備よく契約を完了して、達成感にひたりながら、ダウンタウンまでやってくると、そこは100%中国系というわけではないがちょっとしたチャイナタウンだった。丹念に街を観察してみると、その街はアジア系のダウンタウンであって、確かに中国語の看板をかかげたチャイニーズのお店が、目立つのだが、それ以外にもコリアンやインド料理といったエスニック系も、混じっていた。その中で、ペルシャ語のようなグニャグニャした文字とともにヌードルハウスの看板のある店に、次から次へと客が入っていく。思わずつられてついていった。


結論から言えば、そこはベトナムヌードル店であった。しかも、西洋人向けに味付けをソフィストケートし、値段もリーズナブルなファーストフードショップだった。店員は、60年代の日本人を思い出させるようなかっちりした髪形で、女性スタッフも地味なメイクだった。何よりキビキビとテーブルを廻っているのが印象的だった。

さて、メニューについて言えば、ベトナムヌードルがメインであって、これには大盛り(ラージ)と並(スモール)を選ぶことができる。あとは、日本人には少し固くて味付けも薄いフライドライスと、少し油っぽいお好み焼き風のブンがあった。ベトナムヌードルについて、もう少し言えば、麺は基本的にライスヌードルで、これは、少し太めのそうめんの感触。エッグヌードルはちょっと固めのゴムのような弾力のあるラーメンの麺に近い。具について言えば、3種類の選択があり、少し辛い煮込み風のビーフ、プリプリしたチキン団子、ちょっと大きめのシュリンプがふんだんにはいったシーフード系があった。

続く

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